• キャスティングと同時に、劇中曲の制作も動き出していた。曲の内容によって演出も左右されるため、劇中で歌われる曲は撮影前には大方完成している必要があった。劇中に登場する曲で新たに作ったのは全部で7曲。多彩なアーティストにたくさんの曲を依頼した分、音楽作り、選考も大変な作業だった。最初に検討されたのは、冒頭のLIVEシーンでシンが歌う曲を誰に書いてもらうかだった。シンは「カリスマロックスター」という設定で、監督が「マリリン・マンソンのようなキャラクター」と言っていたこともあり、誰に依頼するのがよいか製作陣は悩んだ末、正真正銘のロックスターであるHYDEへオファーをすることになった。「受けていただけることになったときは、本当に嬉しかったです。詞も、最高の方にお願いしたいという事でいしわたり淳治さんにお願いしました。監督からのイメージワードをベースに、いしわたりさんがよりキャッチーでカッコイイ歌詞にしてくれました」(山野)。

  • ラストの曲を誰に依頼するかについても何度か話し合われたが、最終的には監督が「これからの才能に賭けてみたい」ということで、プロデューサーの若林雄介から提案があり、監督が曲を気に入ったあいみょんにお願いすることとなった。最初の打ち合わせで、あいみょんが「私、曲を作ってきたんですが、ここで歌ってもいいですか?」とその場で弾き語りで歌った。製作陣からリクエストをする前に、あいみょんは台本から読み取ってイメージしたことを詞と曲にしていたのだった。そして、ほぼその時のままの詞と曲が使われることになった。吉岡は、あいみょんのクリエイティブにかなり刺激を受けたようで、表現者としてのあいみょんをモデルにしたいと考え、あいみょんのライブにも足を運んだ。

  • シンが従えるバンド・EX MACHiNAのメンバーは、説得力のある最強のメンバーがよいということで、ギターのPABLO、ベースのKenKen、ドラムのSATOKOにオファー。挿入歌の作家陣は、音楽プロデューサーの西條善嗣を中心に話し合い、never young beach、橋本絵莉子、富澤タク、八十八ヶ所巡礼といった、非常に多彩なアーティストが集結することになった。劇伴は三木監督『変身インタビュアーの憂鬱』も担当している上野耕路。上野の音楽の守備範囲は大変広く、最高のクオリティーの劇伴で作品を彩っている。監督と上野は互いへの絶対的リスペクトがあり、監督は「最後の絶対必要なピースだった」と常々語っている。「一番最初のレコーディングで阿部さんの『人類滅亡の歓び』を聞いたときは『さすがだな』と思いました」(山野)。デモにはHYDEの仮歌が入れてあったが、とにかくキーが高く普通の男性だと絶対歌えないキー。だが阿部は一発目から高い完成度だった。しかし「キエロスベテ~!」という冒頭のシャウトには監督の非常に強いこだわりがあり、声量、声の伸び、キーの高さと、理想のシャウトのイメージがあったため、結局2日間に分けて何十回も阿部は叫ぶこととなった。「シンのように阿部さんの喉も崩壊してしまうんじゃないかとハラハラしました」(山野)。

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